こんにちは。Petitです。
自分の”おもっている”気持ちを表すときにぴったりの「おもい」について考えたことはありますか。
「旅の思い出」だったり、「彼の地への想い」など、よくある「おもい」は「思い」と「想い」ですね。
この言葉の違いから「おもい」の違いについて解説していきます。
まず、「思い」と「想い」の違いは何かというと、文化庁の記載によると、
「おもうものの対象が心に浮かんでいる時は想い、それ以外の一般的なものは思いを使う。」
ということです。
簡単に言うと
おもうものが心にはっきりしていれば「想い」
ということになりますね。
「おもうもの」が違えば「おもい」の漢字も変わってくるということになります。
それでは、様々な「おもい」について解説します。
「思い」
この「思い」は一般的に何にでも使うことができます。基本的にこの「思い」を使っておけば間違いありません。
幾つかの国語辞典で調べてみました。
明鏡国語辞典 (2011)大修館書店 |
思うこと。また、その内容。 |
新明解国語辞典 (2006)三省堂 |
思う(思った)こと。 |
学習新国語辞典 (1996)講談社 |
心にあること。考え・望みなど。気持ち。心配や悲しみ。 |
例解新国語辞典 (2012)三省堂 |
①頭の中で、すじみちをたてたりせずに、あれこれ考えること。②あることに出会って、経験した感じ。③前もって想像すること。④そうしたいという希望。⑤恋する気持ち。⑥心配や悲しみなどの、しずんだ気持ち。⑦うらむ気持ち。 |
例解学習国語辞典 (2005)小学館 |
①思うこと。気持ち。②心配③願い④思い慕う心。 |
一般的に使われているだけあって、意味がたくさん書かれている辞書もありますが、頭の中であれこれと考えることが「思い」であることは、共通しています。
もともと、「思」という漢字は、脳を表す「田」と心を表す「心」が組み合わさってできている漢字です。
だから、脳によって心が動かされることを意味する漢字が「思」で表されています。
「想い」
こちらの「想い」は国語辞典には「(想い)とも表記する」という形でしか掲載されていなくて、違いを発見するのは難しいところですが、『例解新国語辞典(2012)三省堂』には、
「こんなことではないかと想像する。」と「心の中で大事にあつかう。」という意味で使われる場合は、「想い」と書かれることはある。
と書かれています。
また、「想い」を漢字辞典で調べてみると「思」と「想」には、少し違いがあることが見えてきます。
思 | 想 | |
新版漢字源 (1996)学研 |
①おもう②物思いに沈んでいるさま③おもい。心でおもいめぐらすこと。 | ①おもう。ある対象を心において求め考える。②おもい。考え。イメージ。 |
現代標準漢和辞典 (2001)学研 |
①思う。心の中で考える。また、その考え。②おもう。人をしたう。いとしくおもう。 | ある対象に対して心の中で考える。おもう。また、その考え。 |
例解小学漢字辞典 (1997)三省堂 |
おもう。心の中にえがく。考える。 | 心に広がるおもい。 |
例解学習漢字辞典 (2005)小学館 |
①考える。思う。②したう。 | ①心の中であれこれ思い考えること。②計画 |
ほとんど共通しているように見えますが、「想」には、「ある対象に対して」という内容が含まれていることに違いがあります。
漢字の組み合わせを見ても、相手の「相」と「心」が組み合わされて作られています。そのころからも、大切な相手を思いやる心が表されているといえます。
「憶い」「念い」「惟い」「懐い」
良く使われいる「思い」や「想い」の他にも「憶い」「念い」「惟い」「懐い」という漢字を使って「おもい」を表すこともできます。
「憶い」
この漢字は、記憶、憶測、憶念、追憶などの熟語で使われている「オク」と読むことが多い漢字です。そのころからも、この「憶い」は、「心にとどめて忘れない」や「推し量る」などの意味をもたせたいときに使います。
「念い」
この漢字は、念力、一念、念願などの熟語で使われている「ネン」と読まれている漢字です。「念い」は心に留めることや、心の中で考えるという意味があります。しかし、熟語にもあるように、念力や一念などから想像できるおもいは、良く使われてる「思い」や「想い」よりは強い信念や願望を表すときに使う「おもい」ということになります。
「惟い」
この漢字は、思惟(シイ)、伏惟(フクイ)などの熟語に使われる「シ・イ」などと読まれる漢字です。訓読みは「おもう・これ・ただ」となっています。あまり見かけない漢字ですね。
この「惟い」には、あれこれとよく考えるという意味があります。
どちらかというと広くあれこれとおもう時に使う「おもい」となりますね。
「懐い」
この漢字は、懐古、懐石、懐疑などの熟語に使われている「カイ」と読まれる漢字です。熟語の意味から想像できるのは、「昔のことを懐かしく思い出す」という意味です。望郷のおもいなど、昔のことを思い出すような時に使えそうな漢字が「懐い」となります。
まとめ
最後に、これまでの「おもい」を簡単に表にまとめてみます。
思い | 一般的な「おもい」。頭で考えるおもい。 |
想い | 相手のことを考える「おもい」。心で相手のことを考えるおもい。 |
憶い | 心の中に留めておこうとするおもい。 |
念い | 強いおもい。 |
惟い | 広くあれこれと考えるおもい。 |
懐い | 昔のことを懐かしく考えるおもい。 |
となります。
様々な心の中の考えを表すときに使う「おもい」の漢字ですが、基本的には「思い」であることを忘れないようにしましょう。
いろいろな「おもい」は、小説や自分の気持ちを伝えるメールや手紙で使うと効果的かもしれません。
しかし、試験やレポートなどに使うと、「なんだこれ?」とおもわれてしまうかもしれません。
漢字も使いよう・・・。ということでしょうね。