「うつす」には「写す」「映す」「移す」「遷す」など多くの漢字があります。
では、「写す」「映す」「移す」「遷す」はそれぞれどういった意味がある言葉なのでしょうか。
この4つの「うつす」は、大きく2つに分けられます。
- 「写す」と「映す」というグループ
- 「移す」と「遷す」というグループ
「写す」と「映す」のポイントは
「移す」と「遷す」のポイントは
ということです。
では、これらの漢字が意味するところを、詳しく解説していきます。
「写す」はどう「うつす」ことか
「写す」は、もとの姿かたちに似せて作ったり、文字・文書・絵などの原物を見ながら似せて他に書きとったりすることです。転写することや模写することでもあります。
また、見聞きしたものを絵や文章に書くことという意味もあります。
基本的に、何かを見ながら書き写すことや、見聞きしたことを書くことと理解すれば問題ありません。
・テスト前に友達のノートを写す。
・富士山の姿をキャンバスに描き写す。
・最高の一瞬を写真に写す。
・聞き取りした犯人の似顔絵を書き写す。
「映す」はどう「うつす」ことか
「映す」は、物の影や光などを光の反射により他の表面に表したり、投影したりすることです。また、水面・鏡などに姿や形が現れるようにすることでもあります。他にも、映画やスライドなどで、映像をスクリーンの上にあらわすという意味もあります。
何かに投影することを「映す」と考えておけば間違いありません。
・スライドショーをスクリーンに映す。
・テレビに映像をを映す。
・月の姿が池に映しだされる。
「移す」は何を「うつす」ことか
「移す」は、人や物事を別の場所・状態に動かすことです。
もう少し詳しくすると、次のようになります。
など、様々な意味を持っています。
・自分の預金を他の銀行に移す。
・時を移さず行動する。
・引っ越しして、自宅を郊外へ移す。
・危険を察知して、視線を移す。
・一緒に過ごしていたら、風邪を移された。
「遷す」は何を「うつす」ことか
「遷す」は、今ある地位から新しい地位に変えたり、今ある配置から配置換えをしたりすることです。
普段の生活では、なかなか見ることはありませんが、歴史の学習で都の配置換えを「遷都」といったり、20年に一度伊勢神宮が「式年遷宮」を行ったりする時に見聞きするくらいでしょうか。
「遷す」は常用外の漢字になるため、一般的に「移す」と表記される場合も多いです。
・神仏の座所を動かす。
・稲荷神社を遷して守護神とする。
・日本の歴史では、たびたび都を遷した。
「うつす」のまとめ
4つの「うつす」をまとめると次のようになります。
「映す」は、ものの姿や影を光の反射で鏡や水面に投影すること。
「移す」は、人・物事を別の場所・状態に動かすこと。
「遷す」は、配置換えを行うこと。
「写す」と「映す」は間違えやすい言葉かもしれませんが「写す」は転写したり模写したりと書き表すことに対し、「映す」は投影したり、スクリーンに表すという意味で使われています。
簡単にすると、
となり、その差は明確です。
「移す」と「遷す」の違いは、
「遷す」は、「移す」の中でも配置を変えること。
となります。
「移す」の意味はたくさんあるので、使う場面はたくさんあります。
「写す」「映す」は見るに関すること、「移す」「遷す」は動きに関することと2つに分類し、その後「見て書くか見るだけか」「移動か配置換えか」で判断していくと、間違えることはないでしょう。
何をするのか、どう動くのか、見分け方を意識して書き分けてくださいね。